伏木庸平《こもんべべ》(部分) 2023-24年 
作家蔵 写真=鈴木静華

岡田美佳《朝粥》(部分) 1996年 
作家蔵 写真=鈴木静華

ニュース

  • 2025.8.7(木)
    展覧会公式サイトを公開しました

展示内容

上野アーティストプロジェクト第9弾として開催する本展では、布地などに針で糸を刺し、縫い重ねる手法によってかたちづくられた多彩な造形と表現に注目します。手に持った針を動かし、布の表裏の行き来を繰り返す「刺繍(ししゅう)」と呼ばれるような仕事は、つくり手に自分だけの世界に潜りこむことを促し、安らぎや自己解放、時に救済をももたらすものだと言われます。一方で、布地の補修や装飾、信仰などのため、様々な時代、様々な場所で土地の風土に根ざしながら発生してきたこの手わざは、時間・空間を隔てた他者の生活への想像力を働かせるきっかけともなり得るものです。

本展では、大正末から現在にいたる国内の5名の刺し手たちの活動をみつめます。それぞれが手を動かし、布の上にすくい上げた「かたち」と向き合うことで、針と糸というシンプルな道具とともに続けられてきたこのいとなみの意味と可能性について、考える機会となれば幸いです。

作家紹介

【展示構成と出品作家紹介】(展示順)

平野利太郎(ひらの としたろう)
1904〜1994

近世以来の刺繍職人の家に生まれ、伝統的技法に基づきながら革新的な表現を追い求めた。

平野利太郎《花と魚菜》(部分) 1953年 町田市立博物館蔵

平野利太郎《サボテン》(部分) 1955年
 町田市立博物館蔵

尾上雅野(おのえ まさの)
1921〜2002

西洋刺繍の知識を土台に、羊毛の糸を用いた躍動感ある絵画的な刺繍作品を発表し、日本手芸普及協会の会長も務めた。

尾上雅野《秋》1974年(公財)日本手芸普及協会蔵

尾上雅野《赤い花の中の少女》
 制作年不詳
(公財)日本手芸普及協会蔵

岡田美佳(おかだ みか)
1969〜

絵や映像を介して目にし、記憶した風景や事物を、自由なステッチで画面上につくり上げている。

岡田美佳《丸ごとキャベツ》1997年
 作家蔵

岡田美佳《ハーブの庭》1996年 作家蔵

伏木庸平(ふせぎ ようへい)
1985〜

つくることをめざすのではなく、自分の奥底に流れる時間や感覚を確かめるかのように、日々、糸を刺し続ける。

伏木庸平《オク》(部分) 2011年- 作家蔵

伏木庸平《こもんべべ》(部分)
2023-24年
 作家蔵

望月真理(もちづき まり)
1926〜2023

ベンガル地方の女性たちの間で古布再生や祈りの思いから生まれ継承されてきたカンタと呼ばれる針仕事に共鳴した。

望月真理《太陽紋の法被》(部分) 1998-2003年
 個人蔵

望月真理《象は森の王様》2020年頃
 個人蔵

※撮影は全て鈴木静華

基本情報

展覧会名
上野アーティストプロジェクト2025「刺繍―針がすくいだす世界」
Ueno Artists Project 2025: Embroidery
―Expression of Life from the Rhythm of a Needle
会期
2025年11月18日(火)~2026年1月8日(木)
会場
東京都美術館 ギャラリーA・C
休室日
2025年12月1日(月)、12月15日(月)、12月22日(月)~2026年1月3日(土)、1月5日(月)
開室時間
9:30~17:30 金曜日は9:30~20:00 ※入室は閉室の30分前まで
観覧料

一般800円、65歳以上500円、学生・18歳以下無料

  • ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料 *いずれも証明できるものをご提示ください
  • ※都内の小学・中学・高校生ならびにこれらに準ずる者とその引率の教員が学校教育活動として観覧するときは無料(事前申請が必要)
  • ※同時期開催の特別展「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」のチケット提示にて入場無料
主催
東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
問い合わせ先
東京都美術館 03-3823-6921